経営者保証に関するガイドライン
- 2024年10月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2月28日

みなさんは経営者保証ガイドラインをご存じでしょうか。
あまり聞き馴染みのない言葉だと思いますがとても重要な内容です。これから新たに融資を受ける際、既に融資を受けている場合でも経営者保証に関するガイドラインを活用することができます。
それでは内容を見ていきましょう。
経営者保証に関するガイドラインとは
1、経営者保証とは
経営者保証とは中小企業が金融機関から融資を受ける際の人的保証として、経営者個人が法人の連帯保証人となることです。
メリットとしては、金融機関にとってリスクの軽減が図れ融資を受けやすくなります。
一方で、連帯保証人となることで融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が法人に代わって返済する必要があります。
2、経営者保証に関するガイドラインとは
中小企業の経営者保証に関する契約時や履行時等における関係機関の対応について、自主的なルールを定めたものです。このガイドラインにより経営者保証のリスクを解消し、中小企業の資金調達の円滑化を図っています。
経営者保証に関するガイドラインが成立した背景
もともと、経営者保証は経営者への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化を目的とした制度として開始しました。
しかし、経営者保証への依存などにより保証契約時・履行時においてさまざまな課題が存在することがわかりました。
そこで、平成25年1月に中小企業庁と金融庁が中心となり、契約時や履行時等における共通の自主的ルールとして「経営者保証に関するガイドライン」が策定されました。これにより、経営者保証による負担やリスクを解消して、中小企業の思い切った事業の展開、起業促進、早期の事業再生や清算を後押しすることが可能になりました。
また、2023年4月より、金融機関が経営者に対して個人補償を求める場合には、保証契約の必要性に関して具体的に説明することが求められるようになるなど、活用しやすい制度になるよう内容の変更が行われています。
ガイドラインの内容
経営者保証に関するガイドラインには以下のようなルールがあります。
➀合理的な保証契約に向けたルール
経営者保証の活用が合理的かどうかを金融機関が判断するための要件や経営者保証を求める場合の保証金額の設定方法や説明の必要性を記載しています。
②保証債務の整理手続きについてのルール
原則として準則型指摘整理手続きにより債務整理を行う。主債務について法的債務整理が行われる場合にでも、保証債務の整理にあたっては、原則として準則型指摘整理手続きを利用するなどの保証履行時の保証債務の整理手続きが記載されています。
➂経営責任のあり方についてのルール
保証履行時の保証債務の整理手続きにおいて、金融機関は一律に経営者交代は求めず、経営者が引き続き経営にかかわることについて経済的合理性が認められる場合には許容することが記載されています。
➃残存財産の範囲についてのルール
破産時に自由資産(99万円)が原則として経営者の手元に残ることや、金融機関は保証債務の履行にあたって保証人に一定の生活費等を残すことや一定レベルの自宅等に住み続けられるように検討することが記載されています。
⑤その他のルール
上記の他にも、一定の要件が満たされた場合に保証債務の一部履行後に残存する保証債務の免除に、誠実に対応することや経営者保証に関するガイドラインによる債務整理を行った保証人の情報を信用情報登録機関に報告・登録しないことなどが記載されています。
経営者保証に関するガイドラインの3要件
上記のように、経営者保証に関するガイドラインにより経営者のリスクを軽減することが可能です。
しかし、このガイドラインを利用するには以下の3つの要件を満たす必要があります。
➀資産の所有やお金のやり取りに関して、“法人と経営者が明確に区分・分離されている”
②財務基盤が強化されており、“法人のみの資産や収益力で返済が可能である”
➂金融機関に対して、“適時適切に財務情報が開示されている”
経営者保証に関するガイドラインの種類
融資の際における企業の状況により、以下の3つの種類があります。
➀経営者保証に関するガイドライン
②事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則
➂廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的な考え方
いかがでしたでしょうか。
経営者保証に関するガイドラインは知らないと活用することは難しいです。
ぜひ、内容を参考に活用してみてください。
